2022年4月29日
斜里町,北海道

 

基本的にテレビやネットニュースなども見ない私ですが最近、北海道で起きた観光船の沈没事故で、子供を含め多数の若い方々が亡くなった事を知り大変胸を痛めております。

 

ご冥福をお祈りします🙏

今夜もです

 

今回「斜里町」での事故という事でその地名を聞くと、私はいつもある家族の物語を思い出してしまいます。

 

「地のはてから」-乃南アサ- 

 

もう10年以上前に読んだ本ですが、今だにどこか心の片隅に残ってる小説。

一時期サスペンス界の女王乃南アサにハマっていて、流れ的にこのタイトルを手に取り読み始めたんですが・・・

率直に申しまして最初は「つまんねぇよ」としか思えませんでした。とにかくストーリーが暗いし重いし理不尽だし読みにくいし… 「ドMじゃあるまいしこんなの読めるか!」なんて言っていたのに、気づけば上下巻一気読みさせて頂いたのをよく覚えております。

覚えている範囲で簡単にストーリーをなぞらせて頂くと、舞台は大正から昭和にかけての北海道。 いや… 北海道が北海道と呼ばれる前の時代の話ですね。

借金に追われ開拓民として移住し、知床(斜里町)の想像を絶するような過酷な自然環境で生き抜く家族、その娘の視点で物語が展開していきます。

そこには現代にも通ずる社会の矛盾・貧困・暴力・差別・理不尽さなどあらゆるマイナス要素が彼女を苦しめそれでも「明日の事は考えない、今日の事だけを考え生き抜く」という強い女性の生涯が描かれています。

今でこそ北海道はそこそこ開発され、気軽にいつでも行けるようになりましたが、たった100年ちょっと前の開拓民にはこういった人生を送った人々が大勢いたのだろうと考えると「敬服」以外に言葉が見つかりません。先人達の積み重ねで「今」があるという事を改めて気づかせてくれます。

乃南アサの作品の中ではかなりマニアックなタイトルなのかもしれないが、「北海道好きな人・今を悩んでる人・女性もかな」かなり読みづらいがぜひお勧めしたい一冊。

知床は好きで何度も行ったが、斜里町と聞くと「かつてあの町にとても強い女性がいたのだ」とこの作品を思いだします。

 

 

おわり。

 

 

んっ?

 

あれっ? そう言えば👏

 

確かこの小説には続きがあったんだ。

 

ニサッタ、ニサッタ -乃南アサ-

 

そうそう、この物語には続きがありました。
そうとは知らずに読み進めていて、「地のはてから」の主人公の娘が〝おばあちゃん〟になって登場した時には思わず震えた。

「ニサッタ、ニサッタ」も上下巻それなりにボリュームがありこちらの主人公は、おばあちゃんの孫、若者の男子という事で感情移入はし易かったが共感はできず、この作品も悲壮感たっぷりで読み始めは「またかよ!」なんて言ってましたが、お決まりの如く一気読みさせて頂きました。

会社の倒産やリストラ、1人の若者が転げ落ちる紆余曲折の物語で、誰もが感じる社会の壁、人生の落とし穴がリアリティを持って描かれています。

私はこの2つの作品を通して、娘が恋した…? 少年が〝アイヌ〟で、その文化・生活様式・アイヌ差別問題を知り、随分と自ら「日本においての先住民族問題」を調べていた記憶があります。
当然そこには琉球人、沖縄がなぜ日本に併合されたのかなどを調べていたので、そういったきっかけをくれた作品という事もあり印象深かったのかもしれない。

こういった波紋的に好奇心が広がっていくのも小説を読む楽しみといったところでしょうか。

 

どこかで繋がる共通点

 


今回、現在進行形で起こってしまった海難事故の報道を受け、乃南アサの作品「地のはてから」を思い起こし、改めて感じた事がありました。

人類は長らく…  何千年何万年とその日暮らしのような「とにかく今日を生き抜く」そんな半狩猟生活のようなハングリーライフを、つい近代まで送っていた。
明日の天気さえ分からず、当然将来に対して何の保証もない「明日は明日の風が吹く」 いい事も悪い事もあるがままを受け入れ、一生懸命「今」を生き生涯を閉じていったのだろう。

私はそんな単純であるがままを受け入れられる生き方にこそ、尊さや潔さを感じてしまう。

一方現在は、生活も豊かで安全で便利にはなったはずなのになぜか生きる事を複雑化し、下手に先の事を見通しやすくなったばかりに余計な事ばかり考え、将来の不安や心配ばかりしてる人が何て多い事だろう。

先々の事ばかりを考え、そこから逆算し今なすべき事を設計するという生き方は「今」を見失い、命の輝きを

【マニアックすぎ】北海道〝斜里町〟と聞くと思い出す小説「地のはてから」

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