ルック車という表現は、元々マウンテンバイクとして売り出しているのに「オフロードでは走らないで下さい」という謎の注意書きが添えられているような〝MTBルック車〟からきていて、いわゆる「本物ではない」という意味合いで使われているそうです。
一方、私が乗っていたクロスバイクが偽物か?(ルック車)と言われればそんな事もなかったのですが、要は「激安クロスバイクって結局どうなのよ?」と、2年乗ってみた私だからこそ言える「GRAPHIS」の感想を書いてみたいと思います。
SAAB ドッペンギャンガー
この小型自転車は私が長年愛用していたSAAB ドッペンギャンガー。ルック車以前に乗っていた愛車。
…っと言っても、私は基本自転車乗りではないので普段は室内保管で、キャンプやフェスの時にだけ車に乗せて移動先の「足」として使っていました。
がしかし、しょせんは小径自転車。遠くまで行って行けない事はないものの、行動範囲はかなり「狭かった」と言えよう。
日常的に乗る事はなかったが、旅先の「足」として沢山の場所を共に巡り、非常に思い出深い一台であった。
まだまだ一緒に思い出を作りたかったが、外側タイヤが裂け始めてきて、メーカーに問い合わせたら「もう販売していません(黒タイヤにしなければいけない)」との回答に、ネクストチャリを探す事になった。
GRAPHIS 700C(26インチ相当)
今思えば「いかにも」というようなルックスではあるが、購入時はどこか前車「SAAB」と似た感じ(タイヤの色など)に惹かれたのかも知れない。 それはどこか、前の彼女が忘れられず、その面影を新しい彼女に求めてしまうような感覚…… とは一切関係ないが、とにかく激安であった。
当時、何のキャンペーンをしていたのか忘れたが、本体・装備品込み(鍵や泥よけなどなど)・送料込みで驚愕の13000円。
自転車に対して全く「無知」であった私にはそれが高いのか安いのかもよく分からなず「パッと見」で買ってしまったクロスバイクだったのですが・・
全然イケてた
上記したように私にとって自転車は、車に詰め込んで〜の… アウトドア先で探検する「足」として使っていたのですが、この自転車に出会って「走る楽しみ」というものを教えてもらった。
激安のくせして、ギヤはフロントシングルのリア6段変速のシマノ製で、山道でも楽に対応でき一度も壊れるというような事がなかった。
クロスバイク特有の前傾姿勢は想像以上にスピードを出す事ができ、モーターバイクともまた違うコーナリングやスプリントの楽しさを存分に味わう事ができた。
確かに全体的な安っぽさは否定できないものの、走っていて「不安」を感じる事は一度もなかった。 笑わしているつもりはないが、冗談抜きで私は「GRAPHIS」で大阪まで旅をした事がある。
弱虫ペダルにハマった
良いのか悪いのかはよく分からないが、自転車の楽しさが分かり始めた頃を見計らって、ロードバイク乗りの友人に勧められたのが漫画「弱虫ペダル」
でも気になるよねぇ〜
更に、私が弱虫ペダルにハマった頃合いを見計らって「ロードバイクに乗ろうぜ」と、今だにしつこく誘ってくれるのですが、ゆるふわスタイルをモットーとしている私にはちょっと〝下ハンドル〟はガチ過ぎるので、そこは丁重にお断りをしている(現在は別のクロスバイクを購入)
悪かった点
おそらく〝自転車乗り〟の方に言わせれば「全部ダメだろ」と真顔で言われてしまうだろうが、私はコレはコレで結構気に入っていた。
現在、もう少しグレードの高いロードバイクに変えてみて「あ〜〜」という気づきはあるものの、乗っている時には特に不満はなかった。
がしかし、もしこれからグラフィスの購入を考えている人がいるかもしれないので、頑張っていくつか気づいたマイナス点を絞り挙げてみたいと思います。
フレームが重い
クロスバイクのフレームは、一般的にアルミ素材を採用してると思うが(高額機種はカーボン製)、グラフィスのフレームとフロントホイールをつなぐフォークは、鉄製を採用している。
鉄はアルミと比較して、重くて錆びやすいというデメリットがあるものの……、だからと言ってそんなに違うかと言われれば「特に気にならない」というのが当時の私の率直な感想。
自転車は、こだわりだせばあらゆるものを軽量化していく事になるが、私はこの鉄フレームに乗った事で、次のアルミフレームに乗り換えた時にプチ感動も味わえたし、クロスバイクのエントリーモデルとしてはむしろ最適だったと思っている。
フレームサイズが26インチのみ
これは、後から分かった事なのですが「GRAPHIS」のクロスバイクは、フレームのサイズ展開が基本ワンサイズしか無い(子供用もワンサイズで発売している)
とにかく自転車の知識がほぼ0だった私は「男性でも乗れます」という、かなりアバウトな広告を見て購入したのですが、26インチの「ピッチピチ感」はぶっちゃけハンパなかった。
どう言う事かと申しますと、26インチとは身長170±5センチを想定しているらしく、180センチの私が運転するには小さすぎたようだ。
まぁ乗って乗れない事はなかったし、私なりにはそれでも十分楽しんでいたのだが、割と大柄細マッチョで足長(自称)おじさんが小さめなルック車をマジコギしてる姿は、いろんな意味で世間をザワつかせたに違いない。
何ならそんな私の、恥ずかしくも滑稽な姿をコッソリ撮影され、いつの間にかにYouTubeにアップされ「おっさんルック車マジコギwww」 現在は地味に800再生くらいでお茶の間を沸かしてる可能性もなくはない。
しかしそれは、私の体型とクロスバイクのバランスの問題であってグラフィスに問題があった訳ではない。
現在の私が思うに、身長が160〜175センチの男子女子であればフレームサイズの問題は無いと言えよう。
タイヤが安物?!
これは近所の自転車屋のオヤジにハッキリと言われたのが「色つきタイヤはすぐダメになるしこれは材質が安物だねぇ」との事。
否定もできないし肯定もできないが、結果的に私はこのタイヤで概算3000キロくらいは走ったと思われる。
そのうち一回だけ自分でパンク修理をしたのみで、タイヤやチューブ交換を一度もしていないのに溝もバリ山ありましたけど「それって優秀なんじゃないの?」 …っと今だに思うが、確かに長期的に考えれば色つきタイヤは選択肢も狭くなるし何とも言えないが、そもそもが本体自体があり得ないような激安だったんだし、タイヤが安物なのも普通に当たり前なのではないでしょうか。
エントリーモデルとしては悪くない
最後にGRAPHIS(ルック車)の総合評価をしてみますと「そこそこダサいが悪くはない」と申し上げていいのではないしょうか。
メーカーやブランドを気にする人にとっては選択肢にも挙がらない無名な激安チャリかもしれませんが「近所乗りでそこまで性能を求めない・クロスバイクってどうなの?」という人の為のエントリーモデルとしては悪くないのではないかと思っています。
言い方は悪いかもしれないですが、メンテナンスもそこそこに壊れるまで乗って「ハイ終了」という方にお勧めかもしれません。
結局、私は「本当にこのクロスバイクを長年に渡ってメンテナンスしていくの?」と自分に問いかけた時に、別のクロスバイクを選択し「欲しい」という方に譲ってしまいましたが、私にとっては最初のクロスバイクであり、思いがけず走る事の楽しさを教えてくれた一台でありました。
それではまた…