今夜は死ぬほど暇なので、私の趣味の一つであるアンティークコイン(金貨)など、金(GOLD)にまつわるあれこれを書いていきたいと思います。
金価格高騰の要因
先週、ドル建ての金価格が1オンス2400ドルの大台を軽く超え史上最高値を更新しました。
通常、現在のようなアメリカの「ドル高・金利高」という状況下では、金利を生まない金は「値下がりする」というセオリーをものともせず金の価格は更に上がり続けています。
理由は実に単純で、アメリカをはじめ先進諸国などが行ってきたQEが世界的インフレを起こし、基軸通貨・主要通貨が不信任を招いた結果、それとは対極に位置する世界通貨の「金」の価格を押し上げている。
と同時に、ドル嫌悪するBRICS陣営が外貨準備高を減らしてまで金を買い進めており、東西パワーゲームの重要なツールとなってしまった金は、これからもまだまだあがりそうである。
FRBやECBがたとえQTモードに入っていても「過剰なマネー」は、既に世界経済を制御不能状態に追い込みつつあり、ペーパーアセットが持つ信用リスクを「現実的」に市場が意識し始めているのではないかと私は思います。
では、これらを踏まえた上で次に一般的な金貨の現在の価格を見てみます。
メイプルリーフ金貨
メイプルリーフ金貨は、カナダ王室造幣局発行の世界で最も有名な「金貨」の一つ。純度は99.99%で、単にカエデの葉がレリーフされているだけなのに不思議と気品がある。
希少価値自体は全くなく、素材そのものの値段で取引きされる事が一般的で、直近の田中貴金属の店頭小売価格は一枚(1オンス)あたり約44万になる。
では次に、近代ではあるものの「アンティーク金貨」と呼ばれているコインの価格を見ていきましょう。
リバティーヘッド金貨
このコインは、アメリカで最初に発行された20ドル金貨で1850年〜1907年までの間ほぼ同じデザインのまま造られていました。
表面に「自由の女神」の頭像が彫られている事から「リバティーヘッド」と呼ばれ長年アメリカで親しまれた金貨です。デザインも美しく発行枚数も多い為、投資目的やコレクターにも人気のある金貨の一つです。
それではまず、私のコインと同じ年号の「1904年」のリバティーヘッド(20ドル)の価格を見てみたいと思います。
たまたま売りに出ていたものですが、左から1130万(5$)・170万・170万と随分と幅がある事が分かりますね。120年以上前のアンティーク金貨であればこの価格も納得できます。
ちなみに日本では1904年「日露戦争」が開戦した年なんですが、その同時代にアメリカで発行されたこのリバティーヘッドが、どういった経緯を経て私のもとにやってきたのか… また、これから120年後にはどこの誰が手にしているのか…
そういったストーリーに思いを馳せるのも、永遠の輝きを放つ「金」という物質ならではの魅力であります。
こんなのも書いてたみたいですね
まぁそれはさておき、それでは私はこの1904年のリバティーヘッドをいったいいくらで手に入れたのか? (先月の話しね) 普段はこんな事はしませんが参考までに明細を見てみましょう。
ジャン!
どうでしょうか「あれっ?」っと思わなかったですか? 1100万するのもあれば170万するのもあるのに、私のコインにいたっては39万って…
「またいつもの偽物でしょ?」と思われる方もいると思いますが、残念ながら正真正銘の本物です(いつもじゃねぇーわ)
まぁ本題はここではないので簡単に説明すると、アンティークコインの世界では大体3つの要素で値段が決められています。
1. 人気度
2. 希少性
3. 状態(グレード)
つまり私のコインはグレードがマズマズ… という事なんですね(MS62) 170万のはMS65かな
でも、おかしくないですか? だって「希少価値が全くない」と言われているメイプルリーフが44万なのに、なぜ100年以上前のアンティーク金貨が、例えグレードが少し落ちたからといって39万で買えてしまうのでしょうか。
同じ1オンス金貨なのに地金金貨より安いなんてあまりにもおかしくないですか?
ちなみにメイプルリーフ(1オンス)の重さは31.1gなのに対し、リバティーヘッドは33.4g。この重さの違いは純度に違いがあり、一枚あたりの金の含有量は共にジャスト1オンスなので、重量による値段の違いではない(輝きは違うよね)
では… 何故こんなにもおかしな事がコイン相場で現在起きているのか、ちょっと夜食でも食べながら考えてみようと思います………。。。
歪みはどこにでも起こる
確かにコインの世界では度々こういったおかしな値付け(歪み)がされる時があるのですが、実はそれはコイン相場に限った話しだけではありません。
例えば、株や債券などの金融商品は日々大量のお金が行き交います。 そんな中でヘッジファンドや個人トレーダーは相場に生まれるある瞬間の「歪み」を血まなこで探す事により、その歪みが戻る力を利用して儲ける事を得意としてます。
割安な銘柄なら買い、割高なら空売り。一つ一つの歪みはわずかであっても、レバレッジを効かせる事で莫大なリターンに繋げていきます。
特にペーパーアセットの世界ではそれらをいち早く見つけ、市場の動きより速く行動できた者が勝者と言われています。
しかし、市場参加者が多い分その歪みは瞬時に解消される事がほとんどで、つまりそれは競争率の高さを物語っています。
では、話しを再び「金貨」に戻しまして、当然ここにも歪みがいくつも存在しています。その一つが、今回の主題である「リバティーヘッドの真の価値」だと私は思っています。
本来、地金より安く放置されたアンティーク金貨などあり得ないのです
それでは何故この「歪み」が放置され、すぐに解消されないのか? その答えは、コイン相場独特の「お金と時間の性質」にあるように私は思っています。
コイン相場歪みの本質
まず第一に、コイン相場ではペーパーアセットの世界ように大量の投機資金が流入しずらいという点があげられます。
なぜなら株式や債券市場であれば、誰でもどこにいてもスマホのタップ一つでレバレッジを効かせ売買する事が可能ですが、アンティークコインではそうもいきません。
信頼する業者で売買するにしても、こちらも多少の知識と目利きが必要ですし、購入するという物理的な手間もありますし、レバレッジをかけるなんて聞いた事もありません。
また、私自身も他のコレクターの方も「儲けたい!」と思って買ってる人は少ないので、一度手に入れたコインはよほどの事がない限り手放すという事がありません。
更にアンティーク金貨は、メイプルリーフなど量産型金貨とは違い「再鑑定」が必要になる事が多く、売買するにも時間がかかってしまいます。
つまり、一攫千金を狙う投機家にとっては非常に効率が悪く手が出しづらい、投機資金など流動的なお金が動かなければ「歪み」が解消されるまでの時間が長くなるという訳です。 結果コイン相場ではあちこちでこういった不思議な歪みが放置される事があるのです。
しかしそれでもそのうまれた「歪み」は、ゆっくりと… 時に激しく… 市場原理にそって確実に解消されていきます。
遊び心で楽しむ
ここ最近、長期的な円安を意識して資産の国際分散(外貨預金や外国株や債券)をする人が一気に増えたように感じています。
更にはペーパーアセットに偏らぬよう質的な分散(実物資産)の代表格「金」にも世界的に注目が集まっています。
確かに金は全て国際的な基準で価値が決められている為、おそらくはどこの国に持ち込んでもその国の通貨に両替できるという無国籍通貨の性質を持っています。
その際、購入の対象になるのはやはり比較的換金が容易なゴールドバーであったりメープルリーフ・ウィーン金貨などが多いと思います。
確かにそれらは金地金の価値を確実に持っているので簡素な鑑定のみで「流動的」な事は間違いありません。
しかし、アンティークコインの世界では上記のように金地金の価格より安く放置されている「歪み」がまだまだ多く存在しています。
資産防衛という意味合いが強い金投資ですが、そこに少し遊び心を加えた「歪みを探す」という楽しみをプラスアルファすると、金の魅力がより大きくなるのではないかと私は思います。
今回私は、リバティーヘッドの同グレードの金貨を野口コインで2枚、都内の顔見知りの店から16枚ほど購入しました。それは単に「儲けよう!」としてる訳ではなく、ある目的があるのですがまた話しが長くややこしや〜〜 になるので、別の機会にでもできたらと思います。
ちなみに金のネット購入は偽物が多く出回っている為、基本的にお勧めできないが「野口コイン」であれば足も使わずネットからでも安心して確実な本物を他より安く手に入れる事ができるからお勧め。1ozメイプルリーフであれば田中より8000円ほど安く購入できる。
最後に金貨の最大のリスクは盗難である。
2〜3枚であれば自宅の耐火性金庫で対処できるが、それ以上だと… 特に価値のあるアンティーク金貨であれば「強盗」に入られたら自宅セキュリティでも対応できない恐れがある。
戦争中じゃあるまいし、なるべく価値のある物は貸金庫を強くお勧めします。