最近、久しぶりにユニクロへ行った
僕はあまりユニクロに行く事がないのだが、奥さんは子供の肌着などを買いにたまに行くらしい。成長期の子供はワンシーズン毎にサイズが変わるのでユニクロ辺りが丁度いいそうだ。
奥さんが品定めをしている最中に子供とブラブラしていると・・
これは村上春樹「海辺のカフカ」の小説の一説ではないか! よく見ると〝Kafuka on the Shore〟と書いてある。
ユニクロがよくコラボTシャツを発売してるのは知っていたが、まさか村上春樹とコラボとは… よくよく見ると〝村上RADIO〟UTのようだ。
世間に出回るコラボ物なんて誰が買うんだろうと思っていたが、好きなアーティスト作品の一部がプリントされてるだけで、こうもテンションが上がってしまうものなのか・・
恐るべし・・
一般的に村上作品の小説は好き嫌いが分かれるが、僕はあの世界観がとても心地いい。
定番となっている〝主体性のない喪失感を抱えた主人公〟が、どこかで失ってしまった何かを探し、日常から非日常を行き来し、メタファーやイデアといった観念から紡ぎだされるストーリー。
どこか体の奥底にある記憶や感性を揺さぶられる感覚。
人は生きていく上で必ず何かを失いながら生きていかなければいけない。例えばそれは… 大切な人であったり、若さや美しさであったり、自分自身の気持ちや心だったりする。
人はみな、どこかで何かを失い喪失感や空虚感を抱えながら生きている。
どこへ向かえばいいのか考える暇もないほど忙しい日々の中で、ふと「自分にとって本当に大切なものとは何なのか?」
村上作品の、特に長編小説はそんなやすらぎを与えてくれる。
ハッキリとした答えや結末が欲しい人には苦手だろうというのもよく理解できる。
どんなデザインがあるのかな・・
おいおい・・
超絶テロテロじゃんか!
何で買う前からこんなにテロテロTシャツなんだ? 村上作品でお馴染みの〝佐々木マキ〟のイラストや「スプートニクスの恋人」もファンとしては嬉しいが、このテロテロTシャツはどうなんだい? ユニクロさん。
ポケットのステッチは「ダンス・ダンス・ダンス」を象徴するイラストでいいと思うんだけど、縫製や生地があまりにもテロテロじゃないか。信じられないくらいに安いがとても買う気にはなれない。
ファストファッションを代表するユニクロに「質」を求めるのは無理があるが、僕はどうにもこのワンシーズンオンリーの大量生産・大量消費スタイルが好きになれない。基本的に人はすぐ手に入る物、安価な物を大切にしない傾向がある。
ライフスタイルは人それぞれだが、それだったら僕は値段が数倍高くても質がいい物を長く持ちたいと思う。
多少高くても数年、数十年と着れる服は実は結構沢山ある。特にアウター(コートやトレンチ、ダッフルなどなど)は、質の良いものを長く着る事で愛着も湧き確実に大切に扱うようになる。安物を着回すより結果的に経済的という事も実は多い。
それは靴、腕時計、車、アクセサリー全ての事に言える。実は気づいていない人も多いかもしれないが、安物買いの大量消費社会は全てのものをダメにしていく。コスパばかりを気にしすぎると大切なものを見失う。

「ダンス・ダンス・ダンス」など村上小説の多くは、高度資本主義社会を背景に書かれた作品が多く、批判的で揶揄した場面もあったと記憶しているがその村上春樹氏が、一部では悪しき大量消費社会の象徴ともされる〝ユニクロ〟とコラボするとは何とも皮肉な感じがする。
ユキちゃん・・
家に帰ってネットで調べたら、今回「DANCE」や羊男のピンズも発売されたらしく、それなら品質は関係なさそうだから店舗を探して買ってみようと思う。
ってか3月から売り出されてたんだね!
今回、「ユニクロと村上春樹」というワード検索をして、嬉しい情報も入手した。

村上春樹記念館、2021年10月オープン?
村上春樹記念館とは、早稲田大学の卒業生である村上春樹氏により、小説作品の直筆原稿や関連資料、海外で翻訳された書籍、村上氏が収集した、数万枚のレコード等を、早稲田大学へ寄贈し実現したようだ。
またこの記念館は、こちらもまた早稲田卒の柳井さん(ユニクロ社長)が、改修費用の12億円全額を寄付した事により実現したそうです。
建物の正式名称は「早稲田大学国際文学館」(The Waseda International House of Literature)、これからは「村上春樹ライブラリー」に変わるのかな?
場所は、村上氏も在学中によく訪れたという「坪内博士記念演劇博物館」に隣接する4号館(早稲田キャンパス内)で、閲覧コーナーやカフェのほか、「村上ワールド」を体感できるラウンジ、オーディオスペース等も設置される予定みたい。
2021年秋の開館に向けて、現在、階段本棚に並べる本のテーマ設定や選書、村上作品に関わる記事のデータベース化、ウェブサイトの準備等を進めているようだ。
久しぶりに話しが合ったとさ♪
羊男の言葉
あぁ… そう言えば「ダンス」に登場した羊男が、こんな印象的な言葉を言っていたのを思い出した。
「踊るんだよ」 音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい? 踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。
そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足を停めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ。
ベストを尽くすんだよ。怖がることは何もない。あんたはたしかに疲れている。疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう。「でも踊るしかないんだよ」「それもとびっきり上手く踊るんだ。みんなが感心するくらいに。そうすればおいらもあんたのことを、手伝ってあげられるかもしれない。だから踊るんだよ。音楽の続く限り」
自ら踊っているのか、踊らされてるのか分からないが、とにかく踊り続けなきゃいけないのは現代社会の「絶望」といったところだろうか。
なぜ踊っているのか考える余裕もなく、立ち止まる事すら許されない。その絶望を打ち消す為に消費を楽しもうとする歪な社会構造と高度資本主義は、もはや誰にも止められず、その「欲望」は意思を持った巨大な生き物のように見える。
快楽主義も悪くない・・
さて… 子供達を風呂に入れるか・・
ゴマさんもハルキストだって知れて凄い嬉しいです(*≧∀≦*)
またダンス読みたくなりました。
一番好きな作品はなんですか?
秋さん、ありがとうございます。
残念ながらハルキストまではいかないまでも、大好きな作家の1人という事にしておきます(*’ω’*)
記念館楽しみですねぇ〜♪