人類最大の謎の一つである「意識」
なぜ私は「私」なのか・・
肉体が死んだ後もこの意識は存在し続けるのか、死後の世界は本当に実在するのか。
もしこんな事を知り合いに真剣な顔で話しだしたら「あっ、そっち系だっけ…」なんて徐々にフェイドアウトされちゃうかもしれないですが、そこがつぶやきblgの良いところ(´・ω・`)
今夜は科学の視点から「意識や魂・死後の世界」について考察してみたいと思います。
お時間がありましたらお付き合い下さい……
始まりは「量子脳理論」
今回はロジャー・ペンローズ著の、こちらの一冊「量子脳理論(量子ソウル理論)」を参考に書き進めていくのですが、これがまたとにかく難しい!
この理論を端的にお伝えすると・・
誰だそいつは?
ふむふむ・・
科学に興味のない方であれば当然そのような反応が返ってくるとは思いますが、実はサイエンスとは相容れない概念に思える意識に関する「魂や死後の世界」という存在は、最新科学の研究結果によりその実在が示唆され始めているのです。
ロジャー・ペンローズ- Sir Roger Penrose –
一言で言ってしまえば「ド天才」
2020年のノーベル物理学賞の受賞者で、受賞理由は「ブラックホールの形成が一般相対性理論の強力な裏付けである事の発見」をしたことです。
ある統計では、この世界で最もIQの高い集団は物理学者と数学者と言われていますが、彼はその中でも最も賢い… つまりはこの地上に存在する総人口80億人中トップ10に入ると言っても過言ではない科学に精通した「知性の神」なのです。
ではそんな彼が何を根拠に〝意識の本質〟や〝死後の世界〟について語っているのか、私が理解できる範囲で読み解いていきたいと思います。
「意識」とは量子の働き
まず彼が思うには、どれだけコンピューター技術や人工知能(AI)が発達しても「意識」や「魂」という点において絶対にAIは人間に勝つ事はできないと言っています。
最近私も遊んでいる話題の「ChatGPT」
対話型AIとして2018年GPT-1をリリースして以来、わずか数年でここまでの進化を遂げたそのスピードにはシンギュラリティを予感させる程の衝撃を受けましたが、現在の人工知能は根本的に言えば機械的な計算(アルゴリズム)によって反応してるだけです。
一つ一つの分野では既に人間の能力を凌駕していますが、人間のような「意識」や汎用性を持たないコンピューターでは、絶対にこれからも人間に勝つことができないと彼は言います。
では「意識」とは一体何なのか?
ペンローズは「人間の意識とは量子の働きによるものだ」と言っています。
どういう事かと言いますと、それにはまず「量子とは一体何なのか?」という説明が必要になってきます。
量子とは一体何なのか
上の図を見ていただいて、学生の頃に勉強した記憶が甦るかどうかはさておき… 何となくでも雰囲気で理解していただけるとありがたいのですが、我々の体・この世界を構成する全ての物質には基本要素があり、量子とはその中でも「これ以上分割できない粒子」の事を指しています。
量子とは一般的に分子の中に含まれる電子や、光子の事を指しますが、これらの挙動を研究する学問の事を「量子力学」と呼んでいます。
では、ペンローズが主張する「意識と関係があるかもしれない量子の働き」とはどんなものなのか、これからその性質について見ていきたいと思います。
量子による「状態の重ね合わせ」
今この瞬間、私は自宅の書斎という特定の場所にいて骨手裏剣をして遊んでいます。そしてあなたもあるどこか特定の場所にいる。
このように私達が感じるこの世界では、任意の時点において物事は確定した状態にあります。しかし量子の世界では状況が全く異なるのです。
原子の中で電子は原子核のまわりを回っていますが、いくつかの異なる場所で同時に存在しているのです。
ある瞬間、一つの電子は場所Aで左回りに自転していますが、場所Bや場所Cでは右回りで自転しています。
このように一つの電子がいくつかの異なる場所に存在している現象は、量子の世界における「状態の重ね合わせ」と言われています。
例えばその現象を先程の私に当てはめてみると、私は書斎で骨手裏剣をして遊んでいますが、同時に別の場所で「チラ見」もしている。その同時刻になぜか私はまた別の場所で「ぐったり」もしている。 おかしいとは思いますが量子の世界ではこういった事が実際に起きているのです。
更に不思議な事に「重ね合わせの状態」にあるこれらの量子を人間が観測手段を用いて観測すると、量子が観測されたその瞬間に重ね合わせの状態から一つの確定した状態に変わります。この重ね合わせの状態から一つの確定した状態に変わる過程の事を量子力学では「収縮」(波動関数の収縮)と呼んでいます。
つまり、先ほど私が同時刻に「骨手裏剣」「チラ見」「ぐったり」しているのを、あなたが私を観測(意識)した瞬間に私は確定した状態(収縮)になるのです。
逆に言えばあなたが私を観察(意識)しなければ、私はいつまでたってもいくつかの場所で同時に存在し続けているのです。
これは非常に理解し難い現象です。なぜなら今までの全ての物理現象は人間がその過程を観察しようがしまいが最終的な結果は変わらないというものが常識だったからです。人の「意識」は物理現象に影響を与えないという古典物理学の鉄則が破られた瞬間でした。
もちろんマクロスケールにおいて、こんな事はあり得ない事ですが、私達を含むこの世界全てを構成する基本要素の世界では、量子は確実にこのような振舞いをしているのです。
観察という行為は人間の「意識」によって生まれた行為であり、量子の挙動は事実上、人間の意識によって変化していたのです。もちろん最もショックを受けたのは物理学者達でしたが…。
私達の「意識」もいくつかの考えを同時に持っていますし、いくつかの感情を同時に持ち合わせています。これはまさに量子の「状態の重ね合わせ」と同じではないでしょうか?
私達が普段、小さすぎて認識する事のできない量子(電子)は、人間の脳の中にも大量に存在しています。
外部から受けた刺激を五感が感知し、電気信号に変換して脳へ送信する。脳はその信号を情報処理し、その過程の連続でいくつかの「状態の重ね合わせ」が生まれ、収縮によって具体的な思考と感情が生まれる。
このプロセスこそが「意識」である
ざっくりとではありますが、この主張がペンローズの「量子脳理論」の骨子となっています。
確か30年程前に書かれた〝The Emperr’s new Mind〟(皇帝の新しい心)の中でも同じ主張をしていたはず、確か……。
更に驚くべき事は、ペンローズの主張は当時の神経生物学者の一般的な認識とはあまりにもかけ離れていたので懐疑的な見方が支配的だったのですが、最近になり続々と彼の主張を裏付ける研究結果が報告され始めているのです。
最新の研究結果
私は、ペンローズの理論自体は10年以上前には既に知っていたのですが、最近になり多くの科学者がその裏付けとなる実験を試みているのですがそんな一つ。今回の話しを書くきっかけになりました(リンク先は海外です)
学術誌ではないのですが、2022年10月19日ダブリン大学トリニティ・カレッジ神経科学研究所の研究チームは「人の脳が量子計算を行っている」実証に成功できたそうです。
詳しい研究手法はリンク先で確認してもらうとして、この発見のポイントは単に脳内部の量子信号を確認しただけではなく、量子は短期的な記憶能力や意識といった脳機能にも関係していて、量子プロセスは私達の意識的・認識的な脳機能の重要な一部の可能性があるとしています。
今回の実験結果から、最新のスーパーコンピューターでも再現できない、人間の脳内部で起こる意思決定や不足の事態への対応などの非計算論的プロセスを説明できるかもしれないと科学者達は思っているそうです。
という事でしょう・・
量子力学の誕生から、現在までの加速度的な発展を考えると、近い将来ペンローズが存命中に〝2度目のノーベル賞受賞〟なんて事もあり得るかもしれない! …なんて期待をしている今日この頃の私でした。
っと… 本日は急激に眠気に襲われているので、また明日にでも科学的思考で「死後の世界」についても考えていきたいと思います。