2017年11月2日
乃南アサ

プロフィールと10冊程の読書感想を更新していこうと思います。

プロフィール

 乃南 アサ
1960年、東京生まれ。
1996年の直木賞作品「凍える牙」がやはり有名でしょうか。ちなみに僕もこの作品から入りました。
とにかく圧倒的な心理描写と人物造形で他に追随を許さないくらいに圧倒的だと思います。彼女は女性なのに、どうしたらここまで特に男「人間」の心理の更に奥の深層心理まで迫れるのかと驚かされる事が多々あります。
短編もいいですが、僕は個人的にやはり長編が小説として入り込めて、色々考えさせられる事もあり好きです。
好きな作品は「地のはてから」ニサッタ、ニサッタ」「風紋」「晩鐘」「火のみち」など・・
 まだまだいっぱいあります。
詳しいプロフィールはwikiより→コチラ

夜離れ(短編小説)1998年


夜離れ(新潮文庫)【電子書籍】[ 乃南アサ ]

この本は全編を通して、20代の女性にスポットを当てて書かれている様です。
20代の女性がもつ特有のプライド、軽薄さ、嘘、嫉妬、陥りやすい罠など、男より女性の方が共感をもてるかもしれません。この作品が1992年、この当時でストーカーという概念が存在したのか?
作中にそんな強烈な描写があります。とにかく女性の方必見です。

夜離れ(抜粋)

一般的な普通の家庭で育った女子大生の比佐子。明確な目標はなくとも、漠然と思い描いていた未来は、両親の様なごく一般的なお嫁さんになって、普通に歳をとっていく事。
最初に「あれっ?」っと思ったのは女子大の卒業の頃、ふとした事から夜の世界に入ってしまい、金を知り、男を知り、いつでも抜けだせると思っていたのに、刺激のない普通の生活には戻れなくなっていく。
その後も比佐子の「あれっ?」は、続き、気づけば比佐子も結婚を意識する歳に・・
普通の昼の生活に戻り過ごすが、夜の世界ではあれほどチヤホヤされてたのに、普通の会社勤めになったとたん誰にも見向きもされない。
親と同じような平凡な結婚を目指すが、優しいだけが取り柄だったはずの相手にも振られる。
しかも原因は自分より若いホステスとの結婚だった。
その時はなしてた言葉が印象的でした。
「夜の世界では、惚れたはれたはゲームのうち、みんなが恋愛ゲームをしてるんだ、本気の恋愛なんて誰も求めていない、みんながお姫様で、みんなが王子様」その通りだと思います。僕も大学時代、アメリカのbarで働いてたのですが、不思議とものすごくモテた記憶があります。夜の世界にいると不思議と勘違いしてしまいます。勘違い注意です

まぁ、この短編集は僕自身男ながら、色々考えさせられました。
あと、「髪」が印象的でした。

涙 2000年


涙(上巻) (新潮文庫) [ 乃南アサ ]

涙(下巻) (新潮文庫) [ 乃南アサ ]

プロローグは現代、娘の離婚をきっかけに母親萄子の回想録より物語が始まる。
昭和オリンピックのころ、萄子は婚約者で警察官の勝に一方的に別れを告げられ、殺人容疑をかけられたまま勝は逃走。
被害者は勝の上司であり相棒の韮山の娘のぶこ。
萄子は、気持ちに区切りがつけられず、2年間勝の足跡を追い続け、少しづつ真相に近づき宮古島で再開を果たし、最終的な真実を聞かされる、そして別れ、萄子は幼い頃よりの兄の友人淳と結婚。

そしてエピローグ、夫の淳より勝の衝撃的なその後を聞く。

この小説は、戦後から昭和のオリンピック近辺の史実も時系列に登場し、当時の人々の心情も良く現れていると思います。後半の萄子、勝、韮山の心理描写などは流石です。
個人的には、僕も行った事のある飛田新地や宮古島の当時の情景が目に浮かぶ様で面白かったです。
しかも、この小説でもでてきた宮古島の1966年の台風コラが日本の観測史上最大の瞬間風速85.3m/sの様です。
ちなみに、当時の沖縄はパスポートが必要で、通貨も基本ドルしか使えませんでした。
僕も沖縄、宮古島が大好きです。

駆け込み交番 2007


駆けこみ交番 (新潮文庫) [ 乃南アサ ]
東京23区唯一の「渓谷」がある等々力渓谷に隣接する「等々力不動前交番」に勤務する新米警察の高木聖大のドタバタ劇です。 この主人公は「まえもち」にも出てきていた警官です👮
多分、まえもちから派生したのだと思います。
自分の好きなキャラクターが、別の作品で主人公を務めるのは嬉しいですよね😊
まぁ、僕の場合、ほのぼのとした小説は退屈になってしまい、そんな小説に出てくる高木聖大にも特に思い入れはありません。
しかし、そこは流石、乃南アサ。なかなか楽しめました。
ストーリーは、赴任先の交番のそばに住むシニアクラブの面々と聖大が仲良くなり事件を解決、自身の成長、シニアクラブメンバーが実は裏では必殺仕事人の様な事をしていて、最後に過去の事件を解決します。
彼女らしく、最後まで丁寧に書かれています🙂

乃南 アサ プロフィールと読書感想1

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